成人矯正とは
成人矯正とは、歯や顎の発育がほぼ終了、または完全に終了してから行う矯正治療です。歯と歯ぐきが健康であれば、何歳からでも矯正治療を受けていただけます。歯並び・かみ合わせが整うと、見た目のコンプレックスが解消するだけではなく、むし歯や歯周病のリスクが低くなったり、良く噛めることで脳に刺激を与えられたりとさまざまなメリットを得られます。
成人矯正を行うメリット
歯と歯周組織の健康が整う
歯並び・かみ合わせが整うと、すみずみまで歯ブラシが届くようになるため、むし歯や歯周病のリスクが軽減します。また、かみ合わせを改善することで、特定の歯に大きな負担がかかっている状況も改善され、歯と歯周組織の健康につながります。
食事が楽しくなる
かみ合わせを改善すると、よく噛めるようになり、楽しく食事ができるようになります。
発音しやすくなる
すきっ歯や開咬のように、歯と歯の間から空気が抜けてうまく発音できなくなっている場合は、歯並び・かみ合わせを整えることで正しい発音が可能になります。
呼吸の改善
出っ歯の場合、口をうまく閉じることができず口呼吸になりがちです。歯並び・かみ合わせを整えて口を閉じられるようになれば、鼻呼吸へと改善できます。
悪い歯並びを放置するリスク
むし歯や歯周病にかかりやすい
歯並び・かみ合わせが悪いと歯磨きが難しくなるため、磨き残しが増えて歯垢・歯石が溜まりがちになります。その結果、むし歯や歯周病のリスクが高まり、早期に歯を失うことになりかねません。歯周病は、糖尿病や誤嚥性肺炎、動脈硬化、低体重児出生などさまざまなトラブルとも関係があるため、予防と早期発見・早期治療を心がけることが大切です。
コンプレックスになる
口元の見た目がコンプレックスになると、自信を持って笑えなくなったりコミュニケーションを避けがちになったりする恐れがあります。
骨格や顎関節に悪影響が及ぶ
かみ合わせがずれていると、顔がゆがむ原因になります。また、特定の歯に大きな負担がかかり、顎関節への負担も増加して顎関節症を発症する可能性もあります。顎関節症は、口を大きく開けられなくなったり強い痛みが起きたりするトラブルです。
十分に噛めない
歯並び・かみ合わせが悪くなると、歯と歯を合わせて食べものをすり潰せなくなるため、奥歯や消化器官に大きな負担がかかります。
歯並びセルフチェックリスト
- 顔のバランスが左右非対称
- 上下の前歯の中心がずれている
- 歯をかみ合わせているのに上下の前歯の間に空間ができる
- 片側で噛むことが癖になっている
- 横から見た時に口がぼこっと盛り上がっている
- 下顎や上顎が突出している
- 下顎が後方に下がっている
- 発音しにくい言葉がある
これらの症状が1つでも当てはまる場合は、歯並び・かみ合わせに問題があるかもしれません。
成人矯正の種類
表側矯正
表側矯正は、歯の表側に装置を取り付けて歯を動かす矯正治療です。口を開けたときに装置が目立ちますが、透明や白色の装置を使用することで審美性の問題を軽減できます。
舌側矯正(裏側矯正)
舌側矯正は、歯の裏側に装置を取り付けて歯並び・かみ合わせを整える矯正治療です。口を開けたときに装置が見えないため、周りの人から気づかれる心配はありません。
インビザライン
(マウスピース矯正)
インビザラインは、透明で薄いマウスピースを装着して歯を段階的に動かす装置です。マウスピースを2週間ごとに交換しながら少しずつ動かすため、ワイヤー矯正と比べて歯が動くときの痛みを軽減できます。また、口を開けたときにマウスピースが目立たないため、矯正中であることを周りの人に知られる心配はほとんどありません。
大人の矯正治療後の
後戻りについて
矯正治療の完了後もしばらくは歯が動きやすくなっているため、リテーナーと呼ばれる保定装置の装着が必要です。保定をしないで放置すると、歯並びが再び乱れる「後戻り」が起きる恐れがあります。また親知らずが生えたり、かみ合わせの高さが変わったりすることも後戻りの原因です。
矯正後に後戻りする原因
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リテーナーを正しく使用していなかった
リテーナーは、歯並びを安定させるために装着します。リテーナーの装着時間が不足していたり正しく装着できていなかったりすると、後戻りする恐れがあります。
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悪習癖
歯を舌で押す、口呼吸、指しゃぶりなどの悪習癖は、後戻りの原因です。矯正治療で歯並びを整えても、このような癖を解消しなければ何度でも歯並びが乱れる可能性があります。
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無理な部分矯正
部分矯正は、部分的に歯並びを整えることはできても、全体の噛み合わせまでは調整できません。部分矯正を適用できない症例を無理に部分矯正で対応すると、後戻りのリスクが高まります。
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治療の質が低かった
骨格的な問題があるのに歯列のみの移動で対応したり、歯を抜くべき症例で抜かずに行ったりすると、後戻りにつながる可能性があります。
後戻りした場合の矯正治療法
ワイヤー矯正
歯の表面に装置を取り付けて歯を動かす矯正治療です。固定式の装置のため、ご自身では取り外すことができません。また、口を開けたときに装置が目立ったり、歯ブラシがすみずみまで届かなくなったりとデメリットもあります。
マウスピース(インビザライン)
マウスピースは透明で薄いため、口を開けたときに目立ちません。食事や歯磨きはこれまで通りに行えるため、むし歯や歯周病のリスクが上がらない点もメリットです。
後戻りしてしまったらすぐに
受診しましょう
後戻りを放置すると、再度の矯正期間が長くなる恐れがあります。早い段階であれば、保定装置の装着時間を見直すことで改善する場合もあるため、少しでも歯並びに変化を感じた場合はなるべく早くご相談ください。